施設等見学・研修

第15回日本物理学会Jr.セッション(2019)で奨励賞を受賞

2019年3月17日(日)、九州大学伊都キャンパスにおいて「第15回日本物理学会Jr.セッション(2019)」が開催されました。全国から書類審査を通過した80件の研究について、ポスター発表が行われました。本校から科学部1年生7名、2年生2名が参加し、1年生が2件、2年生が1件の発表を行い、2年生の発表が奨励賞を受賞しました。第12回大会に初めて参加してから、今回で4年連続、5回目の受賞になります。

第12回 奨励賞「磁石球間及び磁石球/鋼球間における磁気力と距離の関係(第1報)」
第13回 優秀賞「磁石球間及び磁石球/鋼球間における磁気力と距離の関係(第2報)」
     奨励賞「電磁誘導による落下速度の制御(第2報)」
第14回 優秀賞「金属パイプ内を落下するネオジム磁石球の速度(第3報)」
第15回 奨励賞「ネオジム磁石球を用いた地磁気の測定」
 私たちは、物理の研究に情熱をもって粘り強く取り組み、得られた研究成果を物理以外の分野の人たちにも理解してもらえるように、これからも努力を重ねていきます。

第3回IBLユースカンファレンスで金賞を受賞

 2019年3月21日(木)、大阪市 浪速区民センター ホールにおいて「第3回IBLユースカンファレンス」が開催されました。IBLは、探究的な学習(Inquiry-based learning)の意味で、研究や調査などの探究活動を通した学習活動で、「自由研究」をより本格的に行う学びです。このイベントは、理系や文系などの枠組みを取り払い、「学び」の視点から「交流」や「対話」を重視したものとして企画されています。本校は第1回目から3年連続で参加しています。今年度は、1年生9名、2年生12名がポスター作成に取り組み、展示発表を行いました。その結果、4件の発表が金賞を受賞し、3年連続で受賞することができました。
 私たちは、IBLでの発表を通じて、社会生活で必要な課題解決能力、コミュニケーション能力、および科学的な思考力や態度を身につけることを目指し、これからも努力を重ねていきます。

株式会社東陽テクニカで室内の磁場測定

2019年4月24日(水)13時から16時まで、本校SSH選択者・科学部3年生1名が株式会社東陽テクニカ本社(東京都中央区)を訪問し、室内の磁場測定を行いました。
 今回の目的は、私たちが開発した測定法による測定結果とテスラメータを用いて得られた測定結果を同じ測定場所で比較することでして、理化学計測部の中根恒一係長から磁場の測定装置であるテスラメータに関する詳しい説明を受けました。

 測定を行った結果、それらの測定結果はほぼ一致し、私たちの測定法でもその場所の磁場の測定ができることを確認しました。また、今回の測定を通じて、私たちの測定法のメリットおよびデメリットが明確になり、今後の研究方針を定めることができました。このような機会を与えて頂いた中根恒一様に感謝申し上げます。

 世界中の様々な場所や特殊な空間での磁場の測定データを一つ一つ丁寧にとっていくとともに、私たちの測定法をさらに改善していくための努力をこれまで以上に積み重ねていきたいと思っております。

正和電工株式会社を訪問

 2019年5月7日(火)14時から16時30分まで、本校SSH・科学部生徒2名が正和電工株式会社(北海道旭川市)を訪問しました。代表取締役の橘井敏弘様より、世界中から注目を集めているバイオトイレについて詳しい説明を受けました。

 今回の目的は、私たちにとって貴重な水を使わずにオガクズと微生物で、屎尿などを分解し、使用後のオガクズは有機肥料として活用する資源循環(下図)の考え方・技術を学び、このような科学的手法を課題研究に取り入れていくことです。見学した実際のバイオトイレは私たちが予想していた以上に素晴らしく、非常にシンプルにできていて、清潔感に溢れていました。また、今回の訪問で、世界のトイレの現状や日本が抱えている問題などがよくわかり、実社会の複雑さと奥深さについても考えることができました。このような素晴らしい機会を与えて頂いた橘井社長に感謝申し上げます。

 私たちは、地球規模の問題について、企業・NPO法人等と連携し、科学的なアプローチを行うことにより、新たな価値の創造を目指し、これからも情熱をもって真摯に取り組んでいきます。

2019年5月23日(木) 千歳科学技術大学訪問

高校1年生SSH選択生徒69名と韓国・仁川科学芸術英才高等学校(IASA)からの訪問団15名(生徒13名、教員2名)が千歳科学技術大学に行き、講義を受けてきました。
 千歳科学技術大学 理工学部電子光工学科 教授 長谷川誠先生と理科工房の学生の方々の指導の下、2つの実験に取り組みました。今回取り組んだ実験は、
①「光の波動性を探る ~ナノメートルオーダの測定への挑戦~」
②「モータの原理と特性 ~クリップモータの回転速度アップへの挑戦~」
の2つのテーマでした。これらの実験は毎年、本校の1年生が千歳科学技術大学において体験している実験であり、生徒たちが興味をもって取り組む実験です。
 今回はIASAの生徒も本校生徒のグループに混じり、英語でコミュニケーションを取りながら2つの実験を楽しむことができました。

 実験終了後は、千歳科技大のスタッフの方とIASAの生徒たちとともに千歳科学技術大学実験棟の前で記念写真を撮影した後、学校に戻りました。

日本地球惑星科学連合2019年大会 高校生セッションで優秀賞を受賞

2019年5月26日(日)、幕張メッセ国際会議場・展示場(千葉市美浜区)で開催された「日本地球惑星科学連合2019年大会 高校生セッション」において、本校SSH選択者・科学部3年生1名および2年生1名がそれぞれポスター発表を行いました。
 この大会は、年に一度、「地球惑星科学」に関わる国内外の研究者が集まり研究発表を行う場であり、高校生ポスターセッションが設けられています。このセッションには全国から80件の発表がありました。本校の発表は、「ネオジム磁石を用いた地磁気水平分力の測定」および「太陽高度と太陽光RGB値の関係」であり、それらの研究成果を整理してわかりやすく発表し、質疑応答を行いました。その結果、「ネオジム磁石を用いた地磁気水平分力の測定」の発表が優秀賞を受賞しました。
 専門の先生方からの助言を参考にし、まだ残されている幾つかの課題解決に向けてこれらの研究テーマをさらに深化させていきます。

原子力・エネルギー課題研究活動の「交流会・施設見学会」に参加

 2019年8月1日(木)および2日(金)、原子力・エネルギー課題研究活動の「交流会・施設見学会」が掛川商工会館(静岡県掛川市)および浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)において開催されました。全国から書類選考を通過した10校の高校が集まり、本校からは1年SSH 生徒2名が参加しました。
 初日は、各校の活動紹介、東京大学 飯本武志 先生による「今後の活動へのアドバイス」、グループワーク(原子力発電について他校と意見交換)、日本エネルギー経済研究所 下郡けい 先生による基調講演「日本と世界のエネルギー・原子力政策」が行われ、原子力発電に関する基礎知識をさらに深めることができました。
 2日目は、浜岡原子力館および浜岡原子力発電所を見学しました。原子力研修センター内には、過去に経験した事故概要が展示され、失敗から多くを学んでいることがわかりました。従業員の方々が、安全性のさらなる追求および「エネルギーミックス」に向けて全力で取り組んでいることを知ることができました。
 私たちはこのような活動を通して、原子力とエネルギーの将来について真剣に考え、様々な角度から分析することが重要であると考えています。原子力が抱えている課題の一つである「放射性廃棄物の最終処分」について真摯に調査、研究を進めるため、8月下旬に幌延深地層研究センターを訪問する予定です。

サイエンスツアーⅠを実施 ~帯広方面~

 2019年8月1日(木)から3日(土)までの3日間,1年生のSSH選択生徒を対象としたサイエンスツアーⅠを実施しました。科学・農学等の分野に関係する研究施設を訪問し,最先端の研究及び生活に直結した技術を体験しました。

研修日程

8月1日(木) 帯広畜産大学,りくべつ宇宙地球科学館(銀河の森天文台)
8月2日(金) 足寄動物化石博物館,白糠にて化石発掘
8月3日(土) 帯広百年記念館,清水町美蔓バイオガスプラント

研修1日目

帯広畜産大学

 帯広畜産大学では,大学の概要説明を受けた後,農学博士の梅津一孝教授から,大量に発生する家畜の糞尿から熱や電気になるバイオガスと肥料効果が高い液肥を作り出す工程と仕組みについて学びました。講義を受けた後は研究室や実験室を見学し,作業の手順や実験方法に加えて,自分たちが実験を行う上で注意を払う点についてアドバイスをして頂きました。

りくべつ宇宙地球科学館(銀河の森天文台)

 りくべつ宇宙地球科学館では,陸別町産業振興課銀河の森振興主任主査で理学博士の村田拓也先生から『太陽活動と宇宙船』という題の講義を受け,太陽活動と宇宙線変動の関係性とオーロラについて学び,その後,霧箱の実験で宇宙線の飛跡を見ることができました。展望台では,木星と土星の環を見ることができ,感動の声が挙がっていました。

研修2日目

足寄動物化石博物館

 足寄動物化石博物館では,施設や博物館で説明を受けた後,学芸員である新村龍也先生から『骨から姿を呼び起こす!』という題で講義を受け,たった1つの部分的な化石から,これまでの知識と経験をもとに,動物や恐竜の姿を復元させる工程について学びました。午後は,白糠方面に移動し,実際に化石発掘を体験しました。貝の化石が次々と発掘され,至る所で喜びの声が挙がっていました。

研修3日目

帯広百年記念館

 帯広百年記念館では,学芸員で主査である池田亨嘉先生から,池や木々,生態系についての説明を受けながらフィールドワークを行い,その後は,博物館常設展示室で北海道の自然や動物について説明をして頂きました。普段の生活では,草木が覆い茂っている場所を「自然」と表現していますが,すでに人間の手が入り,本来生育すべき環境で動植物が生活することができていないという言葉が大変衝撃的でした。

清水町美蔓バイオガスプラント

 清水町美蔓バイオガスプラントでは,帯広畜産大学で学んだ糞尿からエネルギーを得る実際の工場を見学することができました。工場では,株式会社エネコープ事業本部新エネルギー部マネジャーの須藤貴宣先生が工程や仕組みを詳しく説明して下さり,工場内部も見学させて頂くことができました。

サイエンスツアーⅠを実施 ~函館方面~

 2019年8月1日(木)から3日(土)までの3日間,1年SSH生徒を対象としたサイエンスツアーⅠを実施しました。科学・水産等の分野に関係する研究施設を訪問し,最先端の研究及び生活に直結した技術を体験しました。

研修日程

8月1日(木) TOYOTA苫小牧工場,東京理科大学(長万部キャンパス)
8月2日(金) 北海道大学水産学部,函館国際海洋・水産研究機構
8月3日(土) 北海道大学七飯淡水魚養殖実験施設

研修1日目

TOYOTA苫小牧工場

 函館コース選択者は,最初の訪問地であるTOYOTA苫小牧工場に向かいました。ここでは,大規模な工場を稼働させるためにどのような工夫や技術が見られるかを見学してきました。およそ100万平方メートルの敷地内にある第4工場を中心に,4種類のエンジンを制作している様子を見学することができました。工場内では,機械が担当する部分と人間が担当する部分が明確に分かれており,効果的なライン生産システムが科学的な視点から形成されていました。工場見学終了後は,TOYOTAが取り組むモータースポーツやヒト型ロボットの開発についても説明を受けました。車の生産だけではなく,様々な分野へTOYOTAが持つ技術がつかわれていることを知ることができました。

東京理科大学(長万部キャンパス)

 午後からは東京理科大学基礎工学部の長万部キャンパスを訪問しました。ここは全寮制で,基礎工学部の1年生が生活するキャンパスであり,基礎科目を学ぶほか,今後の大学生活の基盤を構築する場所となっていました。広大な土地に配置されたキャンパス内を見学した後,長万部キャンパスの教養部長である竹内教授から燃料電池と触媒に関する講義を受けました。このほか,長万部ならではのホタテの貝殻を利用した研究や毛ガニの養殖に関わる研究の説明を受けました。特に,ホタテの貝殻を利用した研究は廃棄されるものを利用した研究テーマであり,生徒たちは興味深く研究内容の説明を聞いていました。

研修2日目

北海道大学水産学部

 北海道大学水産学部では,水産学部設置の歴史を学んだあと,生徒たちは2グループに分かれ,水産資源養殖の現状や動物行動学などの研究内容について講義を受けるほか,研究室見学や養殖施設見学を体験しました。水産学部では,ウナギの養殖やチョウザメの養殖の他,遺伝学的な研究材料としてゼブラフィッシュの飼育も手掛けていることがわかりました。

函館国際海洋・水産研究機構

 北海道大学水産学部の後は,函館市入舟町にある函館国際海洋・水産研究機構を訪問しました。ここでは,様々な分野の海洋研究者たちが利用できる施設となっており,水産教育にも力を入れています。生徒たちは,研究員の高原先生から函館市の魚であるイカに関する講義を受けた後,実際のイカを使って体の構造などを調べました。その後,酒井先生からナマコを通じた水産資源管理についての講義を受けました。水産資源の管理は,中学や高校で勉強した食物網や食物連鎖に関連があり,その生物単体だけの問題ではないことを学ぶことができました。

研修3日目

北海道大学七飯淡水魚養殖実験施設

 最終日となるこの日,生徒たちは七飯町にある北大水産学部の施設へと向かいました。ここでは,施設長の山羽先生が北大が持つ各実習施設の概要をお話ししてくれました。その後,この施設で養殖・研究している魚種の話になり,遺伝子関連の研究などにも話が及びました。講義の後は施設見学をして,チョウザメをはじめとしてこの施設で飼育されている多くの魚類を観察することができました。

エネコープバイオガスセンター

 昼食後,生徒たちは最後の訪問施設となるエネコープバイオガスセンターに向かいました。ここでは,家畜から出たし尿やコープから出た食品残渣などを微生物などの力を使って分解してエネルギーを生成しているプラントでした。微生物の力でメタンガスを生成したり,メタンガスを利用して発電を行ったりすることで,廃棄物を極限まで無駄にしないための工夫を知ることができました。また,プラントでの反応の副産物として,田畑などで利用できる液肥なども作られており,このようなリサイクルシステムが効果的に活用されることで,自然界に対しても負荷のかからない状態が作られることを学びました。

 今回の2泊3日のサイエンスツアーを通して,生徒たちは後期から始まる各自の課題研究のテーマ設定に関して,大きなヒントを得ることができました。

サイエンスツアーⅡを実施

 2019年8月1日(木)~2日(金)、2年SSH生徒が関東地方の大学・研究施設を訪問しました。1年後期から始めた課題研究の内容をより深めるため、大学の先生とディスカッションし、研究を進めることを目的としています。

研修日程

・8月1日(水)JAXA相模原キャンパス研修
・8月2日(木)各研究グループが大学・研究室を訪問
        ・日本大学 文理学部
        ・日本大学 理工学部
        ・日本大学 生物資源学部
        ・東京工業大学

研修1日目

 JAXA相模原キャンパスを訪問しました。一般客が入ることができない月面探査シミュレーション施設や、はやぶさ2のオペレーションルームを見学することができ、知的好奇心の喚起や探究心を養う事が出来ました。その後、日本のロケットの歴史や、はやぶさ1号機の実績についての説明を受け、創造性・独創性及び科学的リテラシーを身につける研修となりました。

研修2日目

 各研究グループが大学・研究室に訪問し、自分たちの研究内容をプレゼンテーションし、研究内容をどのように深め、進めていくかディスカッションしました。研究内容の基本的なことから、大学レベルの学習内容まで様々な視点から議論ができました。訪問を終えた生徒たちは、「詰めが甘い!」「しっかり指導してもらった」「これからの研究が楽しみ!!」と充実した様子でした。