サイエンスツアーⅠを実施 ~函館方面~
2019年8月1日(木)から3日(土)までの3日間,1年SSH生徒を対象としたサイエンスツアーⅠを実施しました。科学・水産等の分野に関係する研究施設を訪問し,最先端の研究及び生活に直結した技術を体験しました。
研修日程
8月1日(木) TOYOTA苫小牧工場,東京理科大学(長万部キャンパス)
8月2日(金) 北海道大学水産学部,函館国際海洋・水産研究機構
8月3日(土) 北海道大学七飯淡水魚養殖実験施設
研修1日目
TOYOTA苫小牧工場
函館コース選択者は,最初の訪問地であるTOYOTA苫小牧工場に向かいました。ここでは,大規模な工場を稼働させるためにどのような工夫や技術が見られるかを見学してきました。およそ100万平方メートルの敷地内にある第4工場を中心に,4種類のエンジンを制作している様子を見学することができました。工場内では,機械が担当する部分と人間が担当する部分が明確に分かれており,効果的なライン生産システムが科学的な視点から形成されていました。工場見学終了後は,TOYOTAが取り組むモータースポーツやヒト型ロボットの開発についても説明を受けました。車の生産だけではなく,様々な分野へTOYOTAが持つ技術がつかわれていることを知ることができました。
東京理科大学(長万部キャンパス)
午後からは東京理科大学基礎工学部の長万部キャンパスを訪問しました。ここは全寮制で,基礎工学部の1年生が生活するキャンパスであり,基礎科目を学ぶほか,今後の大学生活の基盤を構築する場所となっていました。広大な土地に配置されたキャンパス内を見学した後,長万部キャンパスの教養部長である竹内教授から燃料電池と触媒に関する講義を受けました。このほか,長万部ならではのホタテの貝殻を利用した研究や毛ガニの養殖に関わる研究の説明を受けました。特に,ホタテの貝殻を利用した研究は廃棄されるものを利用した研究テーマであり,生徒たちは興味深く研究内容の説明を聞いていました。
研修2日目
北海道大学水産学部
北海道大学水産学部では,水産学部設置の歴史を学んだあと,生徒たちは2グループに分かれ,水産資源養殖の現状や動物行動学などの研究内容について講義を受けるほか,研究室見学や養殖施設見学を体験しました。水産学部では,ウナギの養殖やチョウザメの養殖の他,遺伝学的な研究材料としてゼブラフィッシュの飼育も手掛けていることがわかりました。
函館国際海洋・水産研究機構
北海道大学水産学部の後は,函館市入舟町にある函館国際海洋・水産研究機構を訪問しました。ここでは,様々な分野の海洋研究者たちが利用できる施設となっており,水産教育にも力を入れています。生徒たちは,研究員の高原先生から函館市の魚であるイカに関する講義を受けた後,実際のイカを使って体の構造などを調べました。その後,酒井先生からナマコを通じた水産資源管理についての講義を受けました。水産資源の管理は,中学や高校で勉強した食物網や食物連鎖に関連があり,その生物単体だけの問題ではないことを学ぶことができました。
研修3日目
北海道大学七飯淡水魚養殖実験施設
最終日となるこの日,生徒たちは七飯町にある北大水産学部の施設へと向かいました。ここでは,施設長の山羽先生が北大が持つ各実習施設の概要をお話ししてくれました。その後,この施設で養殖・研究している魚種の話になり,遺伝子関連の研究などにも話が及びました。講義の後は施設見学をして,チョウザメをはじめとしてこの施設で飼育されている多くの魚類を観察することができました。
エネコープバイオガスセンター
昼食後,生徒たちは最後の訪問施設となるエネコープバイオガスセンターに向かいました。ここでは,家畜から出たし尿やコープから出た食品残渣などを微生物などの力を使って分解してエネルギーを生成しているプラントでした。微生物の力でメタンガスを生成したり,メタンガスを利用して発電を行ったりすることで,廃棄物を極限まで無駄にしないための工夫を知ることができました。また,プラントでの反応の副産物として,田畑などで利用できる液肥なども作られており,このようなリサイクルシステムが効果的に活用されることで,自然界に対しても負荷のかからない状態が作られることを学びました。
今回の2泊3日のサイエンスツアーを通して,生徒たちは後期から始まる各自の課題研究のテーマ設定に関して,大きなヒントを得ることができました。
サイエンスツアーⅡを実施
2019年8月1日(木)~2日(金)、2年SSH生徒が関東地方の大学・研究施設を訪問しました。1年後期から始めた課題研究の内容をより深めるため、大学の先生とディスカッションし、研究を進めることを目的としています。
研修日程
・8月1日(水)JAXA相模原キャンパス研修
・8月2日(木)各研究グループが大学・研究室を訪問
・日本大学 文理学部
・日本大学 理工学部
・日本大学 生物資源学部
・東京工業大学
研修1日目
JAXA相模原キャンパスを訪問しました。一般客が入ることができない月面探査シミュレーション施設や、はやぶさ2のオペレーションルームを見学することができ、知的好奇心の喚起や探究心を養う事が出来ました。その後、日本のロケットの歴史や、はやぶさ1号機の実績についての説明を受け、創造性・独創性及び科学的リテラシーを身につける研修となりました。
研修2日目
各研究グループが大学・研究室に訪問し、自分たちの研究内容をプレゼンテーションし、研究内容をどのように深め、進めていくかディスカッションしました。研究内容の基本的なことから、大学レベルの学習内容まで様々な視点から議論ができました。訪問を終えた生徒たちは、「詰めが甘い!」「しっかり指導してもらった」「これからの研究が楽しみ!!」と充実した様子でした。
北海道大学 渡辺 直子 先生研修会「放射線の基礎と実習」
2019年10月17日(木) 15:45~17:15、北海道大学大学院工学研究院 エネルギー環境システム部門 エネルギー生産・環境システム分野 准教授 渡辺 直子 先生と日本原子力文化財団の永田夏樹さんが来校され、SSHの生徒を対象とした研修会(講義・実習)が実施されました。
目的は、講義・実習を通して原子力エネルギーや放射線に関する基礎知識を学ぶためです。放射線に関する課題研究に取り組んでいる生徒も含め、原子力エネルギーや放射線に興味・関心を持っている生徒13名が参加しました。前半45分の講義では、「放射線とは」から始まり、「放射線の利用」まで幅広い内容について丁寧な説明があり、先生との間で活発な質疑応答を行いました。後半の放射線遮蔽実験では、様々な線源や遮蔽板を用いて放射線量を実際に測定しました。教科書だけでは知り得ない数多くのことを講義・実習を通して体験し、学習することができました。
今回、渡辺先生による研修会に参加し、放射線に対する理解をさらに深めることができ、放射性廃棄物に関する関心および課題研究に取り組む意欲をさらに高めることができました。札幌日大高校 SSHは、引き続きこのような遠大で難しい地球規模テーマに挑戦していきます。
東京工業大学の学生さん3名と林業試験場の脇田陽一さんがご来校
2019年8月16日(金)、東京工業大学の学生さん3名と林業試験場の脇田陽一さんが来校し、本校から高校生バイオコンに参加する生徒5名が実験に関する打合せを行いました。高校生バイオコンは、独自のアイディアで小中学生向けバイオ系教材を開発し、その出来映えを競い合うコンテストです。4月から課題研究としてオガクズの研究に取り組んでいたグループが5月下旬にコンテストに応募し、参加決定後、オガクズを用いたバイオ系教材開発に向けてこれまで準備を進めてきました。その途中経過を報告するとともに、樹木の専門家である脇田さんからオガクズの実験に関するアドバイスを受けました。今後は、10月12日(土)に行われるコンテストに向けて、良い発表ができるように実験を進めていきます。また、小中学生に興味をもってもらえるように、学生さんたちからのアドバイスを参考にプレゼンの仕方を工夫していきます。
バイオコンテストを通じて、オガクズを用いた本校独自の教材開発ができるようにさらに努力を積み重ねていきます。
北海道ハイテクノロジー専門学校による出前授業を実施
2019年10月5日(土)の午後からおよそ2時間にわたって、北海道ハイテクノロジー専門学校による出前授業が行われました。この出前授業は毎年SSH選択生徒を対象に行われているもので、DNAの制限酵素処理と電気泳動処理を体験する授業です。毎年本校にお越しいただいているバイオテクノロジー学科の伊藤先生によるDNAの構造や仕組みに関する講義や実験器具の取り扱いなどを学んだあと、生徒たちが実際に実験に取り掛かりました。
マイクロピペットや電気泳動装置などのように普段使いなれていない実験器具を取り扱うために、最初はぎこちない様子が見られましたが、TAとして来ていただいた学生さんのアドバイスもあり、どの操作も無事に終えることもできました。
DNAの電気泳動が終了した後は、それぞれの班ごとにDNAのバンドを確認し、目的のDNAを見つけることができました。実験の最後には、伊藤先生から生物学だけではなく将来の進路選択についての貴重なお話をいただくこともでき、生徒たちにとっては有意義な授業となりました。
SSHフィールドワークを実施
2019年9月28日(土)にSSH選択生徒13名が参加して、SSHフィールドワークが行われました。
このフィールドワークでは、野幌丘陵と呼ばれる場所に立地している札幌日大高校の周辺地域の地質とその成り立ちについて学ぶほか、支笏火砕流堆積物から支笏火山の活動の様子を学ぶ目的で毎年行われています。
当日のルートは、①旭山記念公園、②藻南公園、③石山緑地公園、④北広島エコミュージアムセンター、そして⑤西の里砂採取場でした。
当日はバスに乗り、まず旭山記念公園から札幌周辺の地形全景を学びました。旭山公園からは札幌の地形である山地、扇状地、丘陵を一望することができました。
その後、札幌市南区にある藻南公園で豊平川に入り、河岸段丘の観察をしながら海底火山堆積物などを探したほか、石英斑岩と呼ばれる鉱物採集を行いました。
石山緑地公園では、支笏火砕流堆積物である札幌軟石や溶結凝灰岩の観察を行いました。
午前中に札幌市内を巡検し、午後からは北広島市エコミュージアムを訪問しました。ここでは野幌丘陵の成り立ちのほか、北広島市周辺で発見されたキタヒロシマカイギュウの骨格模型のほか、貴重な化石標本を見せていただく機会がありました。
最後に西の里砂採集場を訪問し、クロスラミナを観察したのち、貝化石の発掘に挑戦しました。何名かの生徒が、砂を削り取る中でいくつかの貝化石を発見し、そのたびに歓声が上がりました。
今回のフィールドワークでは、普段何気なく通り過ぎている道の起伏などが、火山活動や地殻変動などの自然現象によって形成されていることを知る良い機会になりました。
一般財団法人「STVグループみらい財団」が本校を訪れました
本校科学部が地磁気およびオガクズの研究活動をもとに作成した2019年度「STV“高校ブンカ部”応援プロジェクト」応募書類審査の結果、本校科学部が応援先に選ばれ、希望していた備品を一般財団法人「STVグループみらい財団」から贈呈されました。
2019年11月13日(水)、「STVグループみらい財団」の方々が来校され、16時30分から本校で贈呈式が行われました。科学部は2011年に創部以来、全道高等学校理科研究発表大会に9年連続で発表を行い、全国高等学校総合文化祭 優秀賞をはじめ数多くの実績を積み上げてきました。その過程で、ネオジム磁石1個で、電力を一切使うことなく、金属の抵抗率や地磁気を測定する方法を開発しました。また、正和電工株式会社のバイオトイレに使用されている林産廃棄物であるオガクズに注目し、正和電工株式会社の協力を得てオガクズの基礎研究を始めました。さらに、青少年のための科学の祭典など小学生とともに実験を楽しみながら科学の素晴らしさを伝える科学普及活動にも毎年、取り組んでいます。今回、本校科学部が応援先に選ばれたのは、このような地道な取り組みが評価された結果であると考えています。
「STVグループみらい財団」から贈呈して頂いた備品を研究活動や科学普及活動等に有効に活用させて頂き、科学の素晴らしさをさらに多くの人達に伝えられるように引き続き地道な努力を積み重ねていきます。
「第6回中高生によるサイエンス広場」に参加
2019年11月23日(土・祝)、札幌市青少年科学館において、「第6回中高生によるサイエンス広場」が開催されました。これは、中学校・高等学校科学部の生徒が、小学生をはじめとする一般の来場者を対象とした簡単な実験や工作などの体験ブースを開設し、来場者たちとコミュニケーションをとりながら、実験や工作に一緒に取り組むという科学イベントです。
本校科学部は、毎年このイベントに参加させて頂いており、このイベントへの参加を楽しみにし、普段から今年度のブースのテーマおよび内容を考えてきました。本校から科学部1年生4名(千葉柊華さん、堀井彩花さん、坂本光君、坂本悠悟君)が参加し、今年度は「おうちで簡単!森林浴~おがくずから森の香りを~」というテーマでブースを開設しました。
10時入場開始から、14時終了まで小学生をはじめとするたくさんの来場者が訪れ、熱心に取り組む小学生たちとコミュニケーションをとりながら、実験や工作に一緒に楽しく取り組みました。来場者の方々とのコミュニケーションを通じて、幾つかの改善点や足りない点に気づかされ、この一日で多くのことを学びました。また、オガクズの研究内容について、保護者の方々にポスターによる説明を行い、興味・関心をもってもらうこともできました。
1年生は、科学部で研究活動を始めたばかりでまだまだ微力ですが、科学部の研究活動に常に興味・関心を持って、お互いに協力しながら楽しく取り組んでいます。その楽しさが一人でも多くの子供たちに伝わるように、週末にはこのような科学活動も行っています。来年度は、来場者の方々に実験や工作の楽しさはもちろんのこと、私たち科学部が取り組んでいる研究内容の一端がもっと伝わるように、ブースの内容にさらに工夫を重ねていきます。
青少年のための科学の祭典北広島大会を実施
2019年12月14日(土)、本校で小学生を対象にした理科実験イベント『青少年のための科学の祭典北広島大会』を実施しました。このイベントは今年で10年目を迎え、中高一貫校舎体育館及び理科室で“小学生に理科の楽しさや面白さを伝えること”を目的とし、保護者を含め約200名に来場していただきました。
会場は小さなブースが多数あり、子供達が自ら興味のある実験をできるように工夫しました。1・2年SSH生徒は、「風船ホバークラフトを走らせよう!」などのブースで子供達と触れ合うことができました。(各ブースのテーマは以下のとおり)
今後も多くの子供達に触れあい、理科の楽しさや面白さを伝えることで“理科好き”になって欲しいと思っています。
各ブースのテーマ
【1・2年SSH生徒による】
3年生SSH生徒研究発表会(英語口頭発表)を実施
8月1日(土)、SSH活動3年間の課題研究活動のまとめである英語口頭発表会が行われました。新型コロナウイルスの影響で発表会の開催が危ぶまれましたが、運営指導委員の先生方にオンラインで参加していただくことで、無事開催することができました。この発表会のために、3年生は英語教諭の指導・助言を受け、発表スライド作成するなど多くの準備をしてきました。
また、当日に備えて発表練習を何度も行いました。その成果もあり、当日は13班すべてが発表を終えることができました。
発表会の最後には生徒代表挨拶として8組の宍戸さんが、3年間の課題研究活動を振り返りながら、発表に関わった方々にお礼を述べ、無事、発表会を終了することができました。
また、発表テーマは以下の13テーマとなります。
1, The Change of Magnetic Power due to The Heat
2, Relationship between Timbre and Physical characteristics of sounds
3, The behaviour of some kinds of zeta function in the critical strip
4, Awesome! Useful Soundproofing
5, Method of measuring resistivity
6, CHANGE OF "COEFFICIENT OF RESTITUTION" UNDER VARIOUS CONDITIONS
7, Using the Seebeck effect to generate power more efficiently
8, Identification of bacteria
9, Investigate the paleo current of the Toyohira River
10, Aiming to protect the Scarce Large Blue
11, Free fall of objects
12, Extraction of quercetin
13, Measurement of the Earth's Magnetic Field with a Neodymium Magnet